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首相と大統領の違い

【首相は国会で選ばれる】
 国ごとにその行政府(政府)の最高責任者が首相だったり、大統領だったりしますが、どこが違うのでしょうか。 まず、それぞれの代表として日本とアメリカを例にして見ていきます。

 日本においては立法府である国の議会、つまり国会でさまざまな案件が決められます。内閣(政府)は国の仕事を進める 責任を負う組織です(「内閣と国会」参照)が、国会の信任がなければ勝手に進めることはできません。 これを議員内閣制といいます。

 首相はその内閣の最高責任者で、国会において国会議員の中から選出されます。 首相が国会で選出されると、国の中の様々な仕事の責任者である大臣からなる内閣を組閣します。 首相の正式名称が内閣総理大臣というのは内閣を代表し、大臣をとりまとめるという意味があるためです。 したがって、議院内閣制では首相一人で様々な案件を決めるのではなく、内閣で話し合いの上、決定していきます。

 仮に、内閣の意見に対して国会が反対すれば、国会は内閣に対して不信任決議を出すことができ、 反対に内閣が自分たちの意見のほうが正しいと考えれば、国会を解散させることができます。 解散した場合は内閣の代表である首相が自分の考えと国会の考えのどちらが正しいかを国民に選挙で判断してもらうことになります。

【大統領は国民に選ばれる】
 一方、大統領も政府の首長であることは変わりませんが、選出は議会ではなく、国民ひとりひとりの投票によります。 議会の議員の方も国民から選挙で選ばれているので、大統領と議会は対等な立場にあるといえます。

 大統領は首相に比べて非常に強い権限が与えられていて、アメリカの大統領の場合、法律や予算の範囲内であれば 自由に決定することができます。つまり、議会で決めた法案も拒否することができます。

 また、議会と政府は完全に独立していて、大統領に対する不信任決議や、議会を解散させることは認められていないので、 大統領も議員もいったん就任すれば本人が辞任するか、事故がないかぎり任期を中断されることはありません。

 このように、大統領制では早い決断を下せることが利点ですが、大統領に間違いがあった場合には悪い方向に行く可能性もあります。 議員内閣制も首相個人の資質によって大きく方向性が変わることはありませんが、話し合いによる決定には時間がかかるということもあり、 いずれの制度も一長一短があるといえます。