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eとはなにか

【eとは】
 高校の数学で出てくる”e”という文字ですが、高校以外では大学で理数系に進まない限り、普段の生活の中で目にすることはほとんどありません。しかし、この”e”は数学や物理をはじめとする自然科学の分野ではなくてはならない非常に重要な数なのです。

 ”e”はネイピア数といい、自然対数の底として用いられる定数(2.718282828459045…)です。

【eの求め方】
 もともと17世紀のヨーロッパにおいて商業の発達の中で生まれた定数で、利子の複利計算(元金によって生じた利子を次期の元金に組み入れる方式で、元金だけでなく利子にも次期の利子がつきます。したがって、各期の利子が次第に増加していく計算方法です)において見出されました。

 例えば100万円を銀行に年利100%で1年間預けたとします。すると1年後の利子は100%なので100万円になります。複利なので元本と利子を合わせると200万円になります。

 同じ年利100%でも利子の付く期間を半年とすると、半年後の利子は50万円で元利合計が150万円。さらにその半年後の1年後には元本150万円に対して利子50%となりますから、利子の75万円と合わせると225万円になります。年利100%でも利子の付く期間が短くなると25万円多くなるわけです。

 同じようにして利子の付く期間を3カ月毎(年4回利子が発生)、1か月(年12回利子が発生)、…という具合にどんどん短くしていき、期間を1秒にすると元利合計は2,718,282円となります。

 この数字は定数eに近づきます。つまり、利子の付く期間を限りなく短くしていくと一定の値に近づいていくということが分かります。

 このような関係を数式では e = lim n 1 + 1 n n と表されます。

【eを使う意味】
 長々とeの生まれた経緯を説明しましたが、このeという定数はその後、自然科学の分野で非常に便利な性質をもつことが分かってきました。
 自然科学の世界ではある量が増加する過程が指数関数 e x の形をしていることが多いのです。例えば水の温度が上昇するときの温度と時間の関係、放射性物質の量と経過時間の関係、細菌の増殖や分裂と時間の関係などなど、様々な物理現象を説明していく際に非常にあてはまりがいいのです。

 したがって物理現象を説明するための方程式でこの e x は頻繁に使われることになります。このような方程式で表された物理現象を分析していく上で、方程式を微分したり、積分したり、対数をとったり、級数展開したり、いろんな演算をしていきます。

演算をしていく中で非常に便利な性質として
 ・指数関数 e x を微分すると元と同じ e x
 ・指数関数eの自然対数log(e)は1になる


などなど、いろんな演算をする上で非常に扱いやすい性質を持っているのです。このような性質から、様々な場面で使用されるのです。

ちなみにこのeという文字はオイラーの定理で有名なレオンハルト・オイラーがその定理の中で用いたことから来ています。