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炎症の薬、ステロイドとは

【炎症は生態防御反応のひとつ】
 ウィルスなどの他に外敵として挙げられるのが、化学物質、熱、紫外線などの外的な刺激物です。熱湯がかかればやけどをしますし、強酸性・強アルカリ性の化学物質に接すると中毒になったりします。

 このように外的刺激物に接すると、やけどなどになり、炎症が引き起こされる場合が多くあります。

 炎症は刺激に対して人体が起こす防御反応で、皮膚が赤く腫れたり、熱や痛みが出てきたりする症状です。傷口からの細菌などの外的の侵入に対して人間の免疫系細胞が攻撃をしかけるのを助けるために起きます。

 また、外的刺激物だけではなく、細菌の感染によっても炎症は起きます。この場合、皮膚ではなく、内臓で起きます。

 炎症自体は人体の防御反応の一つなので、抑える必要はないのですが、痛みに耐えられないとか、高熱が続くなど人体に悪影響を及ぼしてしまうような、ひどい症状になった場合には薬物で抑える必要があります。

【ステロイドは2種類ある】
 そもそも炎症は細胞膜にあるリン脂質という物質が、一連の化学反応を重ねて、最終的に炎症の症状が引き起こされます。

 この炎症を抑えるにはステロイド剤と非ステロイド剤の2種類の薬(坑炎症薬)があります。

 非ステロイド剤(NSAIDs)はリン脂質の一連の化学反応の途中の酵素の働きを阻害して、その後の化学反応をできなくすることで、炎症が起こらないようにします。代表的な非ステロイド剤はアスピリンです。

 ステロイド剤は腎臓の上側にある副腎という臓器から分泌される副腎皮質ホルモンと同じ作用をする薬です。副腎皮質ホルモンは、副腎皮質より産生されるホルモンの総称で、副腎皮質内でコレステロールから合成され、炎症の制御、炭水化物の代謝、蛋白質の異化、血液の電解質のレベル、免疫反応など人体の生命維持に関わる重要な機能に関与します。

 この副腎皮質ホルモンの作用を利用することで炭水化物、脂肪、および蛋白代謝を制御し、リン脂質の生成を防ぐこと、つまり、抗炎症剤としての働きが得られます。

 このように、ステロイド剤は細胞の核の中に入り込んで、リン脂質の一連の化学反応を阻害する物質を作らせて化学反応が起きないようにするものです。

 また、ステロイドは非常に優れた抗炎症作用を持つ一方、免疫抑制作用に代表される強い副作用を伴うことがあります。副作用を抑えるには適切な服用が必須です。