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細菌をやっつける薬、抗生物質とは
【抗菌剤の種類】
細菌をやつける薬を抗菌剤といいます。
どのように細菌に作用するかというと、まず1つ目は細菌を殺す殺菌作用で、2つ目の作用は細菌が増殖しないようにする
静菌作用、3つ目が細菌の体を構成するタンパク質の合成を阻害する作用があります。
それぞれ、どのようなしくみで作用しているのか見ていきます。
殺菌作用は細菌の細胞壁に着目して、細菌が細胞壁を作るのをじゃまします。細胞壁は人間の細胞にはありませんから、
外から来たものであると認識して人体の細胞を傷つけずに細菌だけを攻撃することができるのです。
ただ、副作用として過敏症(アレルギー)を引き起こしてしまう場合があります。
次に静菌作用ですが、この作用は細菌の増殖を阻むもので、細胞が分裂して増えていくときになされる
DNAの複製やタンパク質の合成のときに必要な酵素に着目しています。
これらの酵素は人と細菌では異なるため、細菌の酵素に狙いを定めて作用することによって、細菌が増殖できないようにしているのです。
3つ目のタンパク質の合成を阻害する作用はタンパク質の材料であるアミノ酸の配列を細菌がもつDNAの情報どおりに
結合するのを阻害したり、DNAのもつ遺伝子情報を伝達する役割をもつメッセンジャーRNAを作れなくしたりします。
このようにタンパク質が設計どおりに作れなくなると、細菌は生命活動が維持できなくなって増殖もできなくなります。
【抗生物質とは】
このように抗菌剤は細菌を殺したり増殖を抑えたりする作用を持つ薬ですが、抗菌剤の中に抗生物質と呼ばれる薬があります。
その定義は「微生物によりつくられ、他の微生物の発育を阻害する化学物質」とされています。
例えば有名なペニシリンは青カビから発見され(微生物により生産され)、他の細菌の発育を阻害(細胞壁を作るのを阻止)
する作用があります。
最近では合成技術が発達して、微生物由来ではなく、抗菌力をもった化合物を人工的に作れるようになったため、
本来の抗生物質の定義からは外れてしまうので、これらを抗菌剤と呼ばれることがありますが、広義には人工的に
作られた抗菌力のある化合物も抗生物質と呼ぶことがあります。
この抗生物質は人間と細菌の細胞の構造やメカニズムの違いに着目して選択的に細菌に作用する(選択毒性)
ということが特徴で、人間には影響を与えずに細菌だけを攻撃できるため、選択毒性が高いものであれば、
副作用は少なく、人にとっては理想的な薬であると言えます。