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免疫って何?
【免疫細胞は敵を識別する】
細菌やウィルスといった病原体などの外敵からどのようにして自分の身を守ることができるのでしょうか?
人体には病原体などの非自己物質を認識してそれを排除する生体の防衛機構である免疫というしくみが備わっています。
非自己物質には細菌やウィルスだけではなく、毒性のある化学物質や自分の体内の新陳代謝で出された老廃物、
がんなどの変異細胞、他人から移植された組織などがあります。つまり自分の正常な組織以外のものは全て
非自己になるわけです。これら非自己物質は人体に悪影響を及ぼすことになるため、免疫細胞が排除するわけです。
免疫細胞はいろいろな種類がありますが、全ての免疫細胞は骨髄で作られる幹細胞で作られます。
幹細胞は骨髄で作られた後、赤血球や白血球、血小板などの血球になりますが、この中の白血球が免疫細胞にあたります。
【免疫細胞の主役-白血球】
白血球は好中球、好酸球、好塩基球、リンパ球、単球の5つに分類されます。これを白血球分画といって、
白血球数に占めるそれぞれの割合によって健康状態をみることができます。
さらにこの5つの分類のうち、リンパ球はT細胞やB細胞、単球はマクロファージといった免疫細胞になり、
それぞれ役割分担して外敵から身を守っているのです。
【免疫細胞の連係プレー】
次にそれぞれの免疫細胞の役割分担を見ていきます。
まず、一番単純な役割なのが、好中球です。好中球はアメーバのような伸縮自在の形をしていて、体内をパトロールしてまわり、
外敵に出会うとどんどん集まって食べてしまいます。ある程度食べると破裂して残骸は膿などになります。
その次にくるのがマクロファージです。マクロファージはアメーバ状で外敵を食べるという点では好中球と同じですが、
好中球よりも頭が良く、食べた外敵が何なのかを識別するために、外敵の残骸であるタンパク質の一部(抗原)
に敵である印をつけて自分の体表に掲げます。
マクロファージが掲げた敵の情報を受け取るのが、ヘルパーT細胞です。ヘルパーT細胞は抗原を運んできたマクロファージ
とくっついて、情報を読み取り、外敵であると分かると自ら増殖してサイトカインという物質をリンパ液内に出すこと
によって外敵に攻撃を加えるキラーT細胞やB細胞に出動命令を出します。
キラーT細胞は好中球やマクロファージと違って外敵ばかりではなく、自分の仲間の細胞も壊してしまいます。
一見乱暴に見えますが、がん細胞などをやっつけるときには有効です。
B細胞は高度な攻撃をします。ヘルパーT細胞から攻撃命令を受けると、ヘルパーT細胞のところに行って抗原を見せてもらい、
その抗原に合わせた武器(抗体)を作ります。B細胞は作った抗体とともに増殖して外敵をやっつけるのです。
この抗体は敵のタンパク質の一部である抗原と鍵穴に対する鍵のようにぴったりくっつくようにできていて、
外敵が機能しないようにすることができます。この抗体は1つの敵にしか通用しないので、敵の種類ごとに作られることになります。
さまざまな外敵に合わせて抗体が作れるのはなぜかというと、抗体はタンパク質でできた抗原に対する鍵のようなものですが、
この鍵はいくつかのパーツ(DNAが持つタンパク質の元になるアミノ酸配列の設計図)に分かれていてその組み合わせによって
様々な種類の鍵が作れるようになっているのです。