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電波の種類
【電波は波長によって伝わり方が違う】
電波は電磁波の一種で、日本の電波法では300万MHz以下の周波数の電磁波を電波というと定められています。
波長と周波数の関係は「波長=光速/周波数」なので、周波数が低いほど波長は長くなり、周波数が300万MHz以下と
いうと波長で言えば、赤外線より長い電磁波になります(図1)。
(図1)
電波は電界と磁界がお互いの電磁誘導(「磁石はなぜくっつく?」参照)
によって交互に相手を発生させあうことでできる振動が空間を伝搬していくもので、障害物がなければ空中を直進
していきますが、波長が長いか短いか(周波数が低いか高いか)によってその伝わり方は大きく違ってきます。
波長の長い(周波数の低い)電波は雨などの影響をあまり受けないため、かなり遠くまで直接届きます。
また、ビルや山などがあってもその後ろに回り込む性質(回折)が強いので、ビルや山の裏側でも受信できます。
一方、波長の短い(周波数の高い)電波は雨や霧などによって弱くなります。このため、遠くまでは届きません。
また、ビルなどにぶつかると回折の力が弱いので反射してしまうという性質もあります。
まとめると、電波の伝わり方は次のようになります。
■ 地表波
大地の表面に沿って伝わり、波長が長いほど(長波や中波)減衰が少なくなります。
■ 電離層波
電離層とは地球を覆っている空気の層が上空約90kmになると薄くなり、太陽からの強い紫外線などによって気体の
分子がイオン化してイオンと電子に分かれて存在している場所のことで、何層かに別れています(図1)。
電離層波は電離層で屈折・反射されて地上に向かい、地面で再び反射されて上空に向かうことを繰り返して伝わります。
使用する電波の周波数や電離層の状況により大きい影響を受けます。
■ 地上波
2点間を直線で結んだ経路上を伝播する直接波と電波が地面に反射して伝播する大地反射波をあわせたものをいいます。
地表波も含まれる場合があります。
■ 対流圏散乱波
VHFやUHFなどの高い(波長が短い)周波数に見られる伝搬で、対流圏(地上約15kmまで)を通過する際に、
気温、気圧、湿度などの気象条件の影響により伝搬が変化したり、散乱するものです。
【送信したい情報に応じて電波を使い分ける】
電波は以上のような波長(周波数)によって伝わり方や、特徴が異なっていて、送りたい情報の用途によって
使い分けられています(図2)。
(図2)クリックしてご覧ください
それではそれぞれの種類ごとに特徴を見ていきます。
(長波:波長10km~1km)
長波は波長が長く、地表波として地球の丸みに沿って、かなり遠くまで直接届きます。また、電離層の最も地表に
近いD層でも反射されますが、D層を通過する際の減衰は周波数が低いほど大きくなるので、実際には伝播する長波の
ほとんどは地表波での伝播といえます。
この特長を生かして、かつては国際通信の主力でしたが、周波数が低く、たくさんの情報を伝えるには不向きである
ことや、利用するには大規模なアンテナと送信施設が必要なため需要が減り、現在では船舶無線などの限られた分野
でのみ使われています。
(中波:波長1Km~100m)
地表波の伝播距離は長波より短く、昼間は、電離層のD層による減衰が大きくなるため地表波のみの伝達距離
となります。夜間はD層が消滅するため、E層で反射して遠方まで伝播します。深夜に東京のラジオが離れた地方
で聞けたりするのもこのためです。短波のように地球の裏側まで届くことはありませんが、遠距離まで送信でき、
電波の伝搬も極めて安定しているので、ある程度の情報を伝えながら遠距離通信を可能にしています。
そのため、ラジオの国内放送などに使用されます。
(短波:波長100m~10m)
短波は最も遠くまで届く電波で、D層やE層より高度の高い、地上約140~500m上空のあるF層と地表面の間で繰り
返し反射して伝わっていく性質を持っているため、地球の裏側まで伝わります。さらに送受信の設備が簡素なもの
ですむこともあり、国際放送・通信などで使われています。
ただし、電離層の状態の影響を受けやすく、通信の質が落ちてしまうことがあるという短所があります。
(超短波:波長10m~1m)
超短波は電波の中では周波数が高い方であるため、多くの情報を1つ1つの波に乗せることができます。
その反面、電離層は突き抜けてしまうので、直接届く範囲の通信が基本となります。テレビやFMラジオなどに
利用されていますが、AMラジオのように遠方までは届かず、地域内のみでの視聴となります。
(極超短波:波長1m~10cm)
超短波よりもさらに直進性を持ち、回折が弱いため、伝わる範囲は限られますが、小型のアンテナと送受信装置
で通信できるので、携帯電話やUHFテレビ放送に使われます。
(マイクロ波:波長10cm~1cm)
極超短波よりも短い波長であるため、ますます直進性を持ち、光に近い性質となります。F層を突き抜けてしまう
ため、通信衛星を用いた衛星放送(BS)などで用いられています。
また、その名が示すように電子レンジ(microwave oven)での加熱やレーダーなどにも使われています。
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