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持ち株会社は何のためにあるのか?
【持ち株会社は戦前の旧財閥と同じ会社形態】
最近、「○○ホールディングス」という持ち株会社という形態の会社を新聞やテレビのニュースなどでよく見かけます。以前は見かけなかったこの会社形態はどういった経緯・目的でできたのでしょうか。
持ち株会社が設立できるようになったのは、1997年12月に独占禁止法が改正されたことによります。改正前までは、戦前の旧財閥が持ち株会社の形態をとっていましたが、旧財閥が市場を支配していて、自由な経済活動が行いにくいということから、戦後になってから禁止となっていました。
しかし、近年では企業の統合、部門の分離、事業の拡大などが頻繁に行われるようになったことで、持ち株会社の復活が望まれたことが復活につながりました。
【持ち株会社には2種類ある】
次に、持ち株会社の種類を見ていきます。持ち株会社には事業持ち株会社と純粋持ち株会社の2種類があります。
事業持ち株会社は子会社や他の企業の支配をすることと、自らも事業を行うということが特徴です。例えば、グループ企業内でお互いの株を持ち合っているような場合が挙げられます。グループ内の銀行は食品会社の株を持ち、食品会社も銀行の株を持ちます。銀行も食品会社もそれぞれ自らの事業を行っています。この形態は独占禁止法改正前にも存在していました。
一方、純粋持ち株会社はいわゆる「○○ホールディングス」という会社で、グループの中核となり、他の系列の会社を支配することが主業務となります。したがって、自ら、製造や販売などの業務を行うことはありません。この会社の収入は支配している会社の株式配当です。
【持ち株会社により、迅速に企業間の統合ができる】
それでは、持ち株会社にすることで、どのようなメリットがあるのでしょうか。
最初に述べましたが、近年の流れとして、企業の統合や部門の分離などが頻繁に行われるようになってきています。これは規制緩和や少子化などといった様々な環境要因から、企業もその環境に合わせて臨機応変に対応していかなくては生き残れなくなっていきていることがあります。
そこで、まず第一に持ち株会社では小さな本社として、グループ全体の戦略や経営管理に特化し、経営効率を上げることにより、取り巻く環境に対応するということが挙げられます。
第二に企業の統合、部門の分離、事業の拡大といった経営構造の変革を迅速に行うことができるということです。例えば、企業を買収してた場合、統合していくには人の融和などに時間がかかってしまいますが、買収した企業を傘下の一事業部門としておけば、スムーズに統合を行うことができます。
このようなメリットがあることから、銀行のように銀行再編の流れに対応していくために、統合の際に持ち株会社の形態をとっています。逆にいえば、持ち株会社の形態をとることができるからこそ、メガバンク同士の合併が可能になったともいうことができます。
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