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つくられたお金はどのように流通するのか?

【お金のをつくる量は閣議で決める】
 お金をつくるのはお札であれば財務省の印刷局、貨幣であれば造幣局でつくられているということはだれでも知っていると思いますが、それでは、つくられたお金はどのようにして市場に出ているのでしょうか?

 紙幣は日本銀行(以下、日銀)からの注文を受けて印刷局でつくられますが、つくられたお金はつくればつくっただけ 無造作に発行できるわけではなく、在庫や寿命切れの紙幣の交換分を見ながら閣議を経て財務大臣によって決定されてから、 日銀がその分の量を注文しているのです。

 できあがったお金はいったん日銀に集められ、銀行などの民間金融機関を経て市場に流通します。

 ではつくられるお金はどのようにして流通しているのでしょうか?
 このことを理解するためにはまず、日銀の役割から説明しなければなりません。  一言で言えば日銀は「銀行の銀行」という役割を担っており、日銀が直接 取引きするのは銀行だけです。
 日銀はお札の正式名称が「日本銀行券」ということからも分かるように唯一の 発券銀行で、日本全体のお金の流れを操作する役割も担っています。

【公定歩合でインフレ・デフレを防ぐ】
 例えば景気がよくなっている場合を考えてみます。
 景気がいいと消費者はお金を持っていますから、商品はどんどん売れ、企業はそれに応えようと 事業を拡大していきます。事業を拡大していくには事業資金を銀行から借りたりして調達しますが、  さらに好景気が続くと銀行が持っている資金も底をついてしまい、銀行は日銀からお金を借りることになります。

 銀行が日銀からお金を借りる際の金利を公定歩合といいますが、公定歩合が高いと銀行側の借り入れのコストが高くなってしまうので銀行が消費者に貸し出すときの金利も上げることになります。この一方で銀行は預金者からお金を集める必要がありますから、預金金利も上げることになります。
 このような状態になると消費者はお金を貯蓄に回し、商品を買うことを控えるようになり、 企業も借り入れを控えて事業拡大を抑えるようになります。

 こうして景気は落ち着いていきます。このように日銀は公定歩合を上げ、銀行が資金を借りにくくすることにより、 通貨供給を抑えているのです。

 逆に景気が悪い場合を考えてみます。
 この場合、日銀は公定歩合を下げます。公定歩合が下がると銀行が日銀に払う利子も減るため、 銀行はどんどん借りて企業に安い金利で貸し出します。そうすると企業はどんどんお金を銀行から借りますから、 市場に出回るお金の量も増え、景気は活発になります。

 ただし、必要以上のお金が市場に供給されるといわゆる「カネ余り」の状態になって通貨価値が下がり、 物価が高騰してインフレの状態になってしまうので、今度は公定歩合を上げて市場に出回っているお金の量を 絞り、景気を抑えることになります。

このように公定歩合を上げたり下げたりすることによって銀行が貸し出すお金の量を調節し、 市場に出回るお金の量を調節して極端なインフレやデフレが起こらないようにしているのです。

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