随 想(思いつくまま)

(9/18) 韓国併合の復習
 日本が韓国を併合して100年目だという。それも念頭にあってか書架の「日韓併合の真実」という本(以下「真実」と言う)が目にとまり読んでみた。その内容は併合が韓国近代化の原動力となったという全面的に併合を肯定する書であった。ウッソーと眉に唾を付け、他の本を読んでみようと思ったのが復習のきっかけであった。
 次に読んだのが「韓国併合」(岩波新書)である。歴史の勉強は一つ一つの事実を検証していくことだと感じ、「真実」は歴史書ではなく、著者の主観的認識の書だと感じた。
 次に読んだのが「世界のなかの日清韓関係史」である。併合に至るまでの当時の国際関係がどうであったかという考察を避けて通れない。本書の副題にあるとおり、交隣と属国、自主と独立という視点は大変有意義で、併合を考える上で大いに参考になった。
 次に読んだのが「日本の朝鮮統治と国際関係」である。当時アメリカは韓国併合を容認したという認識が私の頭の片隅にあって、あらためて読んでみたいと思った。本書は併合後の朝鮮独立運動にアメリカがどうかかわったかに重点を置くが、併合の理解に役立った。
 次に読んだのが「韓国近現代史」。副題(1905年から現代まで)を、云わば概観、総括を込めておさらいし、さらに「世界史の中の現代朝鮮」副題(大国の影響と朝鮮の伝統の挟間で)、「テーマで読む韓国の20世紀」を読み、一応なんとなく併合の全容が把握できたような気持ちになった。
 もともと韓国は中国の属国時代が相当長く続いたこと、併合当時の宗主国清は西欧列国の干渉に敗れ国際発言力を失っていたこと、当時封建的な社会体制下、国王など支配階級が国家管理能力を失っていたこと、日本のように明治維新当時活躍した進取の気鋭に富んだ若者層が欠如し、世界の趨勢に無知であったことなど併合された要素は多々ある。しかしそれらから脱却できたのが日本統治だとみてしまう「真実」の立場に賛成できない。日本の韓国統治の実態が、軍事力と憲兵警察による巧妙な騙しと強権による植民地主義だった事は覆い隠すことのできない事実であるからだ。
 「真実」の著者は、日本の現在を軍事力を持たないアメリカの属国という意味で併合された当時の韓国になぞらえている。果たしてどうであろうか。

「日韓併合の真実」−韓国史家の証言ー崔基鎬(チエ・キホ)著(株)ビジネス社刊
「韓国併合」岩波新書(赤388)海野福寿著、、岩波書店刊
「世界史のなかの日清韓関係史」−交隣と属国、自主と独立ー岡本隆司著、(株)講談社刊
「日本の朝鮮統治と国際関係」−朝鮮独立運動とアメリカ1910〜1922−長田彰文著、平凡社刊
「韓国近現代史」ー1905年から現代までー池明観著、明石書店刊
「世界史の中の現代朝鮮」−大国の影響と朝鮮の伝統の挟間でーエイドリアン・ブソー著、明石書店刊
「テーマで読む韓国の20世紀」 韓民著、明石書店刊