随 想(思いつくまま)

(9/1) 「新聞は憲法を捨てていいのか」を読む
 

「新聞は憲法を捨てていいのか」(注)を読む

意見広告運動の事務局会議が終わったところで、吉川勇一さんが「こんな本が著者から贈られてきたが、読みたい人は先に読んでください」と数冊の本を掲げられた。

最近の朝日新聞を読むにつけ、「ペンは剣より強し」という言葉は死語になったのかという感慨を抱いていたので、渡りに舟と読ませてもらうことにした。

まず、第1章「書かれない“世界”の変化」とある。「世界社会フォーラム2004ムンバイ」大会の模様が日本では殆ど報道されなかったことを例に揚げ、新聞報道に偏りがあることを指摘する。アメリカ一人勝ちの世界になってから、私はこのところ“アメリカ本”を意識的に多く読んでいるが、日本に知らされていないことが意外に多く、アメリカの息がかかっている情報しか知らされていないのではと疑問を持っていた。同様なことは国内でも言える。政府側の情報がやたら多く、政府側に反対する情報は殆ど載らない。「九条の会」の全国的広がりは大きく記事になることはまずない。本書はマスコミ論評ではなく憲法と新聞に問題を絞っているので、一般論は深く追求していないが、同感することが多い。

 憲法に関してここ数年の全国紙、朝日・毎日のスタンスが微妙に変化していることを実例に揚げて検証していく。特に朝日については、もっともらしいことを書きながら、自社の主張がなく、結局、大きな改憲の流れに手を貸す役割を担っていることを指摘する。それに引き換え地方紙は改憲について確信を突く論陣を張っていることを詳細かつ具体的に紹介する。勇気付けられる。

 そして最後の章で「“憲法改正”なんてできっこない(私の憲法論)」と言い切るのである。

 私も改憲の急テンポな動きに危機感を抱き、自分に出来ることを何かやっていこうと市民意見広告運動を手伝ってきた。当初憲法は数年以内に7:3ぐらいの可能性で改正されるのではと諦めの気分が強かったが、運動に参加し以来、現在では5:5でどっちに転ぶか判らない、ここ数年持ちこたえれば憲法は改正されないで済むのではないかと思い始めている。平和への思いは根強いことを知らされたからである。

 我が家は朝日を定期購読している。東京に出てからは地方紙にとんと縁が無くなった。ともあれ、「朝日よ、しっかりせんかい!」と言いたい。

 (注)著者:丸山重威   発行所:(株)新日本出版社