随 想(思いつくまま)

(8/4) ある短歌を巡って
   徴兵も強ち(あながち)悪とは言い切れず
     地べたに座る若者見れば

 これは朝日新聞2006・7.31歌壇掲載(高野公彦選)の短歌である。
これに対して「若者を軍隊で育てようとは」という投書が声欄に掲載された。投書全文を紹介すべきだが、省略するとして、SさんからKさんの投稿が掲載されている旨メールがあった。
 

Sさんへの返事

S様

お知らせありがとうございます。投稿も句も読んでいましたが、投稿者の名前まで見ていなかったので、ヘーと思い、あらためて読み直しました。

軍隊経験者から軍隊時代の郷愁とワンセットでよく聴かされる話しです。しかしこの句の作者は女性ですよね。おそらく軍隊の経験がないと思います。おそらく見るに見かねての思いでしょうが徴兵に短絡したのは怖いですね。もっと怖いのは、この句が改憲の体制側に利用されることです。

横道に逸れます。

 私は広島在勤時代に江田島の海軍兵学校跡の教育舘を高校生の息子と見学したことがあります。「お国のために見事死んで見せます」という遺書の数々が展示してあります。純粋な気持ちは胸を撃ちます。とても「貴方の死は犬死でした」など言えません。しかし死を美化し戦争を正当化する効能の一翼を担っています(入ったことがありませんが靖国神社の就遊舘も同様だと思います)。お国のためにと信じて死に赴く若い兵隊の姿に思いをはせます。

脱線します。

 年間の自殺者は3万人を超えるという時代です。戦時中は自殺者が極端に少ないと本で読んだ記憶があります。お国のために敵と戦うという大きな目的があるとき自殺を考える余地がないとか、死と隣り合わせの日常が命の大切さを自覚するのだとか言われます。自殺者対策に戦争を!これは不謹慎なブラックユーモアです。

 ますます脱線します。
 軍隊には徴兵制や死者を顕彰する装置が不可欠です。しかし今は徴兵制度のない国が増えているようですね。しかし、例えばアメリカは軍隊に行けば国籍を与えるとか、美味しい餌を目の前にぶら下げて若者を動員しているようです。またドイツでは徴兵にかえて社会福祉に従事させるとか。さて日本では?投稿の句が読まれるということは平和の証か。

外国要人が献花する無名戦士の墓に埋葬する骨は2重3重4重にどこの誰か全く判らないようになっているようですね。一番いいのは無名戦士の墓自体が無くて良い社会ですね。靖国神社が話題をさらうのは軍靴の足音が近付いて来るのと裏腹で、無気味ですね。天皇陛下のメモ騒ぎも同様です。皇室・・「声はすれども姿は見えず、ほんにお前は屁のようだ」という状態が一番良いのですがね。屁?「不敬罪で逮捕する!」クワバラクワバラ・・   妄言多謝。