随 想(思いつくまま)

(7/8) 今こそ非武装・不戦で
 意見広告運動を手伝って
 5月3日の読売新聞全国版と沖縄タイムス、琉球新報の3紙に「私たちは、非武装・不戦の憲法9条を変えることに反対です」という意見広告を掲載する運動を手伝った。多くの人から賛同金が送られて来、掲載が実現した。「皆さんの意見を寄せて下さい」という呼びかけに沢山の意見が寄せられた。言論の自由、思想の自由が健在であることを実感した。すべて「お国のために」という新憲法が制定された暁には、国家よりも個人が大切など言おうものなら「無政府主義者として逮捕する」と云う時代が来ているかもしれない。寄せられた意見に対してスタッフが分担してその返事を書くことになり、私には「専守防衛」というテーマが与えられた。ない知恵を搾って平素考えていることを書いてみた。各種意見に対する考えに対する我々の回答をまとめたパンフレットが今月中にも刊行されることになっている。

寄せられた意見

 私は九条改正に賛成する者です

 現行の憲法のもとで、実際問題として条文の解釈といった類の方法論で自衛隊が海外派兵されています。と云うことは、次の戦争があれば、また、派遣可能だということです。現行の九条は、不戦の為の条文としては不完全なのだと考えます。九条の内容を「自衛隊の海外派遣は認めない」といったものに改め、日本は金なら出すが血は流さない、と国際社会に宣言すべきだと思います。

 自衛隊の即時解体・・・は、正直言って少々きついと思います。非武装平和は理想ですが、現在の国際情勢を考えると。しかし世界有数の「軍隊」といっていい組織が合憲違憲不明のままずっと維持されている状況は非常に不健全。従って九条で自衛隊をきちんと位置づけ、その運用範囲も、解釈による拡大を極力許さない文言で限定すべきだと思います。

 憲法において、九条だけがその他の条文に比べてものすご―く大事か、というとそうは思えません。他の条文が時流に合わなくなってきて改正の必要が考えられる、という場合に、九条維持の為に他の全ての改憲も拒否、というのはフェアじゃないと考えます。

  因みに私は改憲して天皇制を廃止したいのです

が・・・さすがにそれは厳しいか。

私の回答

考え抜かれた傾聴に値する意見だと思います。自衛のための軍隊なら、あってもいいのではないか。しかし、現に海外派兵しているのは憲法の条文に不備があるからである。自衛隊の位置づけ、運用範囲を明確にし、拡大解釈を許さない条文明記が必要であるという意見と受け止めました。

9条が未来を先取りした素晴らしい条文である意味は、自衛のためといえども戦力(軍)を否定している点にあると考えます(軍隊は自衛のためにあると定めた憲法を持つ国は沢山あります)。

20世紀は戦争の世紀と言われています。何時の時代も、戦争はすべて自衛の名の下に行われ、沢山の人命が失われました。武力の威嚇、報復では何も解決できなかったことに、人類はそろそろ気がつくべき時に来ています。自衛のためか否かではなく、軍隊そのものが必要かどうか問われています。

今やガイドライン、有事立法が成立し、「やられる前にやれ」という自衛のための先制攻撃を誰憚ることなしに強行しているアメリカ帝国、戦争がなければ経済が成り立たない構造の国アメリカ、と日本は軍事同盟を結んでいます。「専守防衛」で認知された自衛軍が国際貢献と云う美名のもとに、アメリカの侵略戦争のお手伝いをするのは眼に見えています。現にせっせと雪の玉を運び雪合戦に参加しています。既成事実の追認は何時の時代も退歩と諦めしか生みません。

次に、実際に日本がとるべき行動を挙げます。

@   アメリカの提唱するグローバル化が貧富の差を助長し、テロや紛争の原因を作り出していることなどをアメリカに率直に忠告するなど不戦国家のメッセージを世界に発信すること。

A   先の戦争責任を明確化し、アジアをはじめ諸外国から信頼を勝ち取る努力をすること

など不戦憲法を有する国として果たすべき事を果たしていない点は多々あると思います。このたび、市民の手での改憲を阻止することに成功すれば、それは不戦国家としての何にも勝るメッセージとなり、世界は大きく変わると思います。日本が軍隊を否定する憲法を持っていることを、世界の市民の殆どが知りません。九条の改憲は国内問題と云うより国際問題です。

最後に九条を維持するために、すべての改憲を拒否するのはフェアでないとの意見を付け加えておられます。尤もな意見だと思います。国民の意思を正確に反映した改憲は技術的に不可能です。本来なら個別に意思を問うべきです(例えば条文1項目ごとに改正していく)。しかし現実には無理があるでしょう。どんな素晴らしい条文も戦争は全てを台無しにしてしまいます。九条改憲反対に焦点を絞らざるを得ない理由もそこにあります。

天皇制廃止の意見も数多く寄せられたことを付記します。(野津功)