随 想(思いつくまま)

(7/7) 七夕に思う
 天の川が視界から消えた
 空には天の川が流れ、その上に北斗七星があった。視界から天の川が消えてから久しい。自分の視力の衰えもあるが、地上が明るくなったせいでもあろう。星の数ももっと多かった。今は金星以外はほとんどその存在が忘れられている。「満点の星」と云う言葉がある、いやあったというべきか。本来、空には一点の隙間もないほど星が満ち満ちているのである。これを実際に見たのは今を去ること50数年前、富士登山の際、5合目の路上で野宿した夜のことだ。全く隙間のないくらいに星が輝いていた。あの光景は何処へ行ったのか。爾来、目にしていない。
 明日は七夕である。幼い子に今の親は天の川をどう説明するのであろうか。放哉ばりに一句ひねるなら「空に天の川のない世に居る」となるか。空を見上げて、失ったものの大きさを思うこのごろである。