随 想(思いつくまま)

(7/26) ケニアからの手紙
 ワールド・ビジョン・ジャパンのチャイルドサポートに賛同して、ケニアの少女と文通している。久しぶりにランカンワちゃんから手紙が届いた。数回の翻訳仲介を経てたどりつく手紙であり隔靴掻痒の感があるが、最新の手紙を紹介する。

 「私と私の家族から、心からの『こんにちは!』をおくります。
(略)
 夜になると、家で祖母が物語りを聞かせてくれます。物語の一つはこんな感じです。『むかしむかし、ある戦士たちが、他の部族を襲い牛を奪った。戦争に勝ったので、全ての家畜が集められ、戦士たちの家に引き渡された。しかし、オルタツアニ
(Oltatuani)と呼ばれる、とても強くて大きな男が現れ、自分の戦士たちを引き連れて、全ての家畜を奪い去った。彼の家に全ての牛が連れて行かれ、数日のうちに全てを食肉にしてしまった』私の大好きなお話の一つです。マーア(Maa)が物語を英語に翻訳してくれました。
 すぐにお返事いただけたら嬉しいです。さようなら。
(略)」

 この文章を読んで正直面喰った。オルタツアニなる強い男は同じ部族のものなのか、襲われた部族の男が報復したのか。どこが良くて「大好きな」のかよくわからないのである。
 ランカンワちゃんはマサイ族である。マサイ族はライオンに一人で立ち向かう勇気があってこそ一人前の男と認められ、かってイギリスがケニアを植民地化しようとした際、最後まで戦った誇り高き部族として世界から尊敬を集めている。民族の誇りがこのような伝承によって今なお受け継がれていると解してよいのか、それとも強者崇拝の思想の伝承なのか、はたまた報復の連鎖を断ち切るため、食肉にしてしまったお話なのか、その辺がよくわからないのである。
 読んだ当初は報復連鎖の話と受け取った。テロ報復が世界を駆け巡る現在、武力では何事も解決しないことを人類は悟るべきではないか。日本は戦争を放棄した憲法を持っている。時代を先取りしたこの憲法が今危機にひんしている。・・・という、やや込み入った返事を書こうとしたのだが、貧困な私の語学では不可能であり、その前に手紙の内容を正確に理解できず、目下、思案投げ首である。