随 想(思いつくまま)

(6/26) 「トライアングル資本主義」を読む
 中尾茂夫著「トライアングル資本主義」を読んだ。今の世界の社会経済政治情勢について、様々な論考主張を俯瞰的に示しながら、読者の判断を問うて来る。勉強不足なわたしに取っては重宝な書である。今世界はアジアに注目、アメリカの一極支配は長くないと見ている。アメリカ追随の日本の現状はこれでよいのかと警鐘を鳴らす。ピラミッド型三角形から、「日米ア」の水平的トライアングル的視野が求められているとする。その点で小泉政治の数年間は日本を歴史の逆方向に向かわせた。吉川勇一著「民衆を信ぜず、民衆を信ず」は長いスパンで見ると民衆の選択は正しいが、過ちも多多あるという。小泉に対する高い支持率はさしずめ民衆の過ちであろうか。福田首相はG8サミットの点数稼ぎに、アフガンへの陸上自衛隊派遣を考えているらしい。アメリカに追随した国際貢献という名の軍事行動をもって、日本の平和国家を標榜するのは時代錯誤であろう。アメリカからの情報に偏り、全方位的情報ソースを持っていない日本は、独自の平和外交戦略を立ることが出来ないでいる。宿敵ドイツとフランス握手によるEUが発言力を増している。中国との相互理解、アジアに軸足を移した国の舵取りが今、求められている。
 トライアングル資本主義 東洋経済新報社 2006.9.28発行