随 想(思いつくまま)

(6/10) ホタルに思う
 孫の土産に
 亡母の一周忌法要のため帰省した 実家の前の川にホタルが たくさん飛んでいた 周囲の反対を押し切り(注)10匹ばかり採り 孫への土産とした 空港での荷物X線?照射を免除してもらうなど注意を払った結果 全匹生きたまま持ち帰ることができた 孫は初めて見る点滅する蛍に感動した
 (注)「7月ホタルは採るな」と言われて育った 7月は交尾の季節でか?詳しい理由は知らない 籠の中では身の運命を感じたか 何組かのカップルが誕生していた
 短い生命に感謝
 ホタルにとっては大旅行であったろう 刻々変化する温度、湿度、騒音、空気の味どれをとっても初体験で このまま古巣に帰還できれば 旅の模様をみんなに語り 川の英雄になれたに違いない ロシヤから帰国した大黒屋光太夫のように ゴメンよホタル 短い生命に感謝(注)
 (注) 孫は早速「飼育と観察」なる本を紐解いたが ホタルの項目はなかった ホタルは人間の手で生命を延ばせるものではなく かといってニナ貝から育てるのは本の範疇外ということだろう
 ダムでホタル絶滅
 大正の末期に川の上流に上水道用貯水ダムが建設された それを機に源氏ボタルはほぼ絶滅した(50年ぐらい前までは体長2センチもあろうかという勇壮な源氏ボタルを時々見かけた) しかし小型の平家ボタルは生き延び 最近は数が増えているという 農薬の使用が控えられるようになったのが理由らしい
 公共事業と失われる自然
 街に水道を敷設するために ダムは不可欠のものだった 我が祖先も資材輸送のための道路拡幅に伴う土地売却代金が入り 懸案だったボロ家が改修できたと聞いている 補償金は有難かったに違いない しかし 滔滔と水が流れ 源氏ボタルが飛び交っていた居住環境は 永遠に返って来ない 水量微々たる がれきと沼の川を見て 長い目で見た我が家の補償金の損益計算は 確実に大きなマイナスだなと思った