随 想(思いつくまま)

(5/7) 「地球を殺そうとしている私たち」を読む
 人文科学偏重読書を反省

「地球を殺そうとしている私たち」これはオーストラリアのを代表する環境科学の専門家テイム・フラナリーの著書である(発売元〈株〉ソニー・マガジンズ)。ともすれば人文科学関係の読書に偏っていた私にとって、自然科学の領域にもっと関心を持つべきだと感じさせた本であった。

 年々地球が暖かくなっているのは何故か

 二酸化炭素排出量増加に伴う地球温暖化については、南極の氷が融けて海面の水位が高くなるなど表面的な知識はえていたが、その仕組み等については全く無知であった。気候の成り立ち、環境への影響、動植物の絶滅などが順序良く、分りやすく記述されている。

 破局は遠い将来のことではない

 天候変動は人間が生み出している。エルニーニョがもたらす水蒸気の量的変化が局地的には旱魃をもたらし、ハリケーンの軌道も変える。地球温暖化は植生を変え、動植物を絶滅に追いやる。私は地球の環境変化は徐々に何百年ものスパンで変化するものと考えていた。どうもそうではないらしい。このままのスピードで環境が悪化すれば2030年には、おなじみの北極熊もいなくなるかもしれないという。オレンジヒキガエルは人間の観察途上で絶滅した。著者は動物学者でもあることからこの辺の記述には説得力がある。

 無駄なエネルギーはカットを

 今進行中である気候変化に対して我々に何ができるか。その対策も種々提示されている。そして、今あなたにできること、それは「電気のスイッチを丹念に点滅すること」ですと。

 一読を薦めたい