随 想(思いつくまま)

(5/22) 昭和 名せりふ伝」を読む
 流行歌とベストセラー
 毎週ボランテアとして吉祥寺ホームデイサービス利用者の話し相手をするようになってから、共に生きてきた時代を復習(おさらい)する意味もあって、このところ昭和に流行った歌、読まれた本などに目を通してきた。話し相手は平均年齢女性87歳、男性83歳という私より少し先輩の方々である。本の内容を直接話題とすることは稀だが、会話の幅が広がればよいと考えてのことだ。たまたま書架に見つけたこの本も、一世を風靡した流行り言葉からその時代の世相をふり返った本と即断して借りた。
 天皇再考
 昭和と言う時代は3幕仕立てだと言う。戦争、復興そして金権の時代。それぞれの時代を代表する懐かしいフレーズが紹介される。全篇に通底する著者の視点は「天皇」である。いかに我々日本人が天皇の呪縛にがんじがらめで生きて来たか、そして平成の今もこの呪縛を引きずって生きていることを知らされる。巷では改憲をめぐる議論が姦しい。しかし天皇制については横目で見て通り過ぎようとしていることに対して無言の警鐘を鳴らされている思いで読んだ。昭和史として一読を薦める次第である
 見出し紹介( )は昭和年号
 何が彼女をそうさせたか(1)山宣一人孤塁を守る(4)話せばわかる(7)
サイタサイタサクラガサイタ(8)定吉二人キリ(11)馬鹿は死ななきゃなおらねえ
ぜいたく敵だ(15)進め一億火の玉だ(19)耐ヘ難キヲ耐エ忍ヒ難キヲ忍ヒ(20)
あっそう(21)オオ・ミステーク(25)老兵は死なず、ただ消え去るのみ(26)
もはや戦後ではない(31)ご誠実、ご清潔(33)声なき声(35)とめてくれるなおっかさん(43)恥ずかしながら(47)やむを得ないこと(50)ジャパン・アズナンバーワン(54)バブルの中の懲りない面々(62)Xデー(64)

「昭和 名せりふ伝」  著者  斎藤憐(劇作家)  発行所 小学館