随 想(思いつくまま)

(4/30) 「一本の鎖」を読む
 9時30分開館
 市中央図書館は9時30分開館である。扉が開くのを待っていた人は真っ先に何処に駆けつけるのだろうか、たまたま開館に出くわしたしたとき、人の流れを観察した。平日は当日の朝刊特に日経新聞が人気である。日曜日は2階の新着図書展示コーナーに駆け付ける組との二つに分かれる。
 一本の鎖とキキ
 新着図書は2冊までというルールになっている。歩いて3分という好ロケーションに住みながら、新着図書へ一番乗りを果たしたことはない。午後になると自分好みのめぼしいものは殆ど残っていない。今週は珍しく午前中に行ったので「一本の鎖」(広瀬隆著)と「キキ」(ルー・モルガール著北代美和子訳)を借りた。誰よりも先に読むのだという気分は捨て難いものがある。
 中近東戦争の構図
 「一本の鎖」の副題は”地球の運命を握る者たち”とある。今地球は中近東地域で激しい混乱が生じている。その構図は何かという課題に対する著者の分析である。アメリカのブッシュ政権を動かしているネオコン人脈、イスラエルの核とイスラムの怒り、サダム・フセイン謎の正体、アメリカ・イスラエル、イスラム、フランス・ドイツ・ロシアの3者の力関係が今後どう動いていくのか興味深いテーマのテンコ盛りである。筆者は「あとがき」で、「『われわれは、危険きわまりないブッシュ政権の暴走を食い止めるために、世界金融の元締めジョージ・ソロスと手を組まなければならない状況にある』というのが本書から導かれる唯一の結論のようだが、そのような結論に身を任せる世界の成り行きには、まったく納得ができない」としている。ちなみにソロスはハンガリー生まれのユダヤ人であり、このところ反ブッシュ、反ユダヤ人ネオコン批判の度を強めているという。分かりにくい構図でその詳細は本書に譲るが、大統領選におけるソロスの資金力にしか期待できないということか、私に論評の資格も力もない。
 テレビ時代の活字の効用
 筆者は本書出版の動機として、”テレビや写真はそれと同じ内容を文章で表現しようとしても不可能なほど、大量の情景描写や人間の表情を、僅か一コマで観るものに教え、感じさせることができる。しかし、一時間の大番組でもその要点となる資料を活字に纏めると原稿用紙1〜2枚ですむていどの内容にしかならない。逆に一冊の書物は映像の数百倍の資料を提供できる”ところにあるとする。ただスピードの点をどう克服するかにあるが、本書(4/15発行)は3月に発生した事項も取り入れており、鮮度は申し分ない。
 早起きのすすめ
 このところ借りる本は専ら小説の類であり、図書館で事足れりとしていたが、鮮度良好な時事評論の類も図書館で調達となると虫が良すぎるか。せめて早起きして、開館と同時に新着図書コーナーに駆け付ける心がけが必要であることを痛感した。
 「キキ」はモンパルナスの恋人キキの伝記である。目下読書半ばである。