随 想(思いつくまま)

(2/22) 壮大なる実験
 
 日本は高齢化社会を迎えた。私が結婚した頃、やがて日常生活の最大の問題は「老人」と「ゴミ」になるだろうと言われていた。ゴミ処理の問題はさておき、今まさに予想されたとおり高齢者社会が進行しつつある。かねて週一回ボランテアに通っているホームで「施設介護サポーター養成講座」受講の誘いを受け、受講した。

 高齢者介護が身内から他人へ、つまり社会的契約という形を取るという今までに経験しなかった状況の中で、今、日本列島は暗中模索、試行錯誤、壮大な実験が繰り広げられているといって過言ではない。社会の仕組みが定着するためには今後50年ぐらいかかるだろうと思われる。人なし金なしの状態で出発し、ボランテアを巻き込んだ現行の制度が今後も長く続くとは思えない。今日の講座も壮大な実験の一環であると私なりに位置づけている。

 研修のカリキュラムは次のとおり
1、福祉の理念 2、高齢者の理解 3、高齢者の尊厳 4、介護保険について 5、高齢者施設の理解について 6・7、実技演習

 座学では上記2、で認知症についての話がり、殆んど無知な私にとって有益であった。平素ボランテア活動の中で高齢者の尊厳の問題を痛切に感じているだけに、上記3、に期待していたが、我々高齢の受講者に対してその尊厳を傷つけるような無神経な講座だった。大学の先生が先進分野専門家然と話されるのだが、テーマがテーマだけに、若い学生に対してならいざ知らず”笑うというより怒り”を感じた。これも”実験”だからと許すしかない。

 実技演習では、特別養護施設に入居しておられる認知症のかたと実際に面談する時間があったが、私自身、正直戸惑い、なすすべを知らなかったと言ってよい。明日の我が身と思うだけに切実でもある。

 2日間の研修を通じて高齢者社会の渦中にあることを実感した。認知症を発症することなく生を全うしたいものである。