随 想(思いつくまま)

(11/30) 「対論・異色昭和史」を読んで

XX様

昨日はお疲れさまでした。

借りて帰った「対論・異色昭和史」を読みました。上坂冬子が言いたい放題言っているのに鶴見さんがさしたる反論をしていないのに歯がゆい思いをされたとのXXさんの言葉が頭に残っていました。私はあまり苦にはなりませんでした。憲法の部分を取り出してみるとそうかもしれませんが、鶴見氏の茫洋としてとらえどころがないが人間の弱さも認めた好き嫌いの情念がところどころに顔を出し面白く読みました。

鶴見さんは対談の相手が変わろうと同じ質問には同じ返事を返しています。上坂氏の挑発やおちょくりに巻き込まれることなく毅然と答えておられます。「お前は間違っている」と断言する過ちを犯してはならないという信念(意見の会ニュースにも掲載されています)を貫いています。一方上坂氏の語り口は品格に欠け、両者の人間的な器の違いを感じさせました。鶴見氏の父をはじめとする身内への厳しさは相変わらずですね。姉に対してはダメなやつだが晩年の方がいい仕事をしたなどやや軟化していますが。転向に対して並々ならぬ倫理観を持つ氏が幅広い語り口で、いつの間にか相手との間に格の違いを見せつけています。鶴俊健在とでもしておきましょうか。