随 想(思いつくまま)

(10/1) 長寿時代に思う
 思えば長生きしたもんだ
 この世に生を受けた頃は「人生五十年」の時代であった その時代は還暦も金婚式も誰でも享受し得ない慶事であった 今では還暦は珍しくもなく極く普通である 一方金婚式の方は晩婚非婚時代を迎え 引き続き稀少慶事を持続するかもしれない? 私達もこのほど42周年を迎えた 
 孫の運動会に思う
 男は15歳で元服、20歳過ぎた女性は婚期を逸したといわれた武家社会時代は まさに「人生五十年」時代だったように思う 子が元服する頃親はまだ若く 武術の稽古相手として対等に立ち向かうことが出来る体力があった さしずめ運動会のPTA参加種目は親子の騎馬戦だったろう 今回はPTAの綱引きであった
 常に死が隣り合わせに
 戦国時代は年幼くして親の死に真面し それを受け入れる準備が出来ていた時代だったと思う 親の死に際して「後はお任せください 心配はいりません」と言って見送った 親の死を前に決然と引導を渡せることが出来ている大人が 今はどれだけいるだろう 省みても内心忸怩たる思いがある
 人生の緊迫感に緩み
 「30にして起ち40にして不惑」と昔の人は言った 短いが故に必死に生きた時代でもあった 今は「夕べに朝あるを思い…」と緊迫感が緩んだことは間違いない 反面長きが故に到達し得た芸術 哲学の成果もあるに違いない 歴史上かって経験のない長寿時代は 新しい文化を生み出しつつあるのかも知れない 不老長寿という長年の希求を手にし 人間は果たして幸せになったのであろうか これは簡単に結論の出ない問題である
 世界に目を向ける時 平均年齢が最も低いシオラレオネは 紛争がもたらす貧困が原因であることを思うと 心が痛む