随 想(思いつくまま)

(1/16) 巨大な牛蒡
 毎週2回、我輩が我が家の炊事当番を担当する。月曜日と金曜日の夕食である。献立は3通り。@魚を煮る焼くなど極く普通のもの Aパソコンで検索したレシピを忠実に再現した一見豪華風なもの(最近とみに回数は減少) B奇を衒ったもの。基礎ができていないのに応用が過ぎ、この評価は容易に合格点に至らない。今日はBの巨大な牛蒡の話。
 珍しいものを見かけたとき見過ごすことができないのが、物好きな小生の性(さが)である。先日吉祥寺駅ビル・ロンロンにて巨大な牛蒡を見つけた。”大浦ごぼう”茨城県産とある。大きさは大根ぐらいの太さ、値段は380円とある。こんな太い牛蒡を見たことはない。好奇心むらむら。
 巨大牛蒡は真っ二つに切ると、中は”す”が入った状態で穴が開いていた。豚肉の塊と共に煮てみた。ごぼうの味がほのかに残っており柔らかい。歯の悪い老人向けかもしれない。妻の評価は話題性にとどまり合格点には程遠かった。工夫次第では案外道が開けそうなのだが。
 この品種が生まれた経緯は寡聞にして知らない。遺伝子組み換えなど、いろいろな新製品を生み出すのであろうか。
 (蚊のつぶやき日記に写真を載せるか・・)

(閑話休題)
 牛蒡は日本人の食材として極めてオーソドックスなもの。終戦直前軍属に徴用された某の仕事は捕虜収容所の炊事係であった。誠実な彼は乏しい食糧事情の中で、やっと牛蒡を手にいれ、食卓に供することができた。戦後のB級戦争犯罪人の裁判で彼は捕虜に「木の根」を食べさせたという虐待を理由に絞首刑台の露と消えた。文化の違いといってしまえばそれきりだが、運命の非情を感ずる話として頭から去らない。